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2007年の「咲く力」_c0184349_016038.jpg


「咲く力」シリーズの2007年頃のバージョン。
写真は、このころ、抽象的な広がりの中心に白い花を描いた作品を何点か制作したなかの一点。
サイズは、サムホール。

 白い花がまわりの色彩を反照するように彩られている。
 ラッズギャラリーの展覧会も三日目。

 私の作品を継続的に見ていただいている人が、作家以上に作品の意図に気づいてくれることに感動させられる。あたりまえの風景画に見えるかなと心配した作品も賛否はあるものの、深く鑑賞していただけていることにとりあえず安堵した。

 田中美和さんは、絵画としてよい嘘をついていると喜んでくれた。絵画の虚構性に触れる感想はうれしかったが、田中さんからその感想を聞けたのが、ひときわ新鮮に響いた。
 現実を模倣したり、現実に近づくことは、必ずしも絵画のリアリティーに結びつかないという話で意気投合した。


YAMABE YASUSHI “Landscape”Making Gardns2nd
山部 泰司 「風景画」展-作庭2-

LADS GALLERY  ラッズギャラリー
大阪市福島区福島3-1-39
メリヤス会館1階
06-6281-0317

2012 年1 月 26 日(木)~ 2 月 5 日(日)
12:00 a.m. ~ 7:00 p.m.
1月30日(月)休廊 / 最終日 2月5日(日)5:00 p.m.迄


 画廊からもどったら、ネットで注文していたブラウンの時計が届いていた。これと同じデザインの黒いものを25年間使っていたのだが、昨年くらいからときどき止まるようになった。

 ネットで検索したら、1987年発売されてからまったく同じデザインのものが何度か登場していて、今は、このシルバーバージョンが入手できることがわかった。

 シンプルだが、機能的。シルバーバージョンも気に入った。この時計はアトリエ用。


個展三日目とブラウンの時計_c0184349_1291655.jpg

この一ヶ月間に見たなかで、特に印象に残っている展覧会と作品を書き出してみた。

 国立国際美術館 12/11まで
●「世界征服の方法」展、クワクボリョウタの「10番目の感傷(点・線・面)」
 最高のロードムービーを見るような動く影絵にしばし、みとれた。

●「アンリ・サラ」展、「アンサー・ミー」
 音と映像による男と女の力学?、刺激的な音と映像の新鮮な出会い。

 兵庫県立美術館 
●「榎忠展 -美術館を野生化する-」11/27まで
 美術館の外でたばこを吸っている榎忠さんに会った。今回の展覧会は、美術館と言う制度との戦い、せめぎ合いだったそうだ。

●「神戸ビエンナーレ」の「REFLEXIONEN ひかり いろ かたち」 大西伸明の立体スーパーリアリズム、
 ユリウス・シュミーデルの光の作品「RGBlaster」なぜか、ケータイカメラで撮影すると不思議な色が写っている。
 同じユリウスだが、越後妻有アートトリエンナーレにも出品していた音の作家ロルフ・ユリウスとは別人)
 11/23まで 

●「超京都」渉成園(東本願寺)におけるアートフェア 11/11~13日、終了
 渉成園、よい日本庭園だった。よい場所に集う現代美術との出会い。

 大阪市立美術館  11/23まで
●「生誕120周年記念 岸田劉生」展
 「麗子像」のバリエーション、岸田劉生の画業の振幅感が見どころだ。
 昨日は、 堂島リバートリエンナーレ2011「Ecosophiaーアートと建築」とラッズギャラリーの海洋堂ホビー館四万十Open記念大阪展。
 今日は、京都国立近代美術館の「視覚の実験室 モホイ=ナジ/イン・モーション」を見た。

 モホイ=ナジの言葉(1947)
「芸術は人間の行為の中で最も複雑で、我々を活気づけ、我々を啓発するものである。それゆえ、芸術は生物学的な要求からなされる。(・・・)芸術は、根源的な確からしさや人類共通の問題を表現することによって、結合の感覚をもたらすことができる」

 3.11以後、月並みな倫理観やドキュメンタリーをアートで提供されても心が動かない。

 夜、アトリエで筆を洗った後、ふと、積んであった山田詠美の「アニマルロジック」を手に取って読んだ。
ひさしぶりに山田詠美の感覚のディテールを定着させる言葉に触れた。

 これからは、借り物の正義感よりも欲望に根ざした倫理観が必要だ。

 原発事故で大量の放射能がばらまかれた。食物連鎖で循環して、簡単に消失することはない。全力で放射能を避けても逃げ切れない。除染しても、環境の中に放出された放射能が消える訳ではない。楽観的な希望を語っても、事故の影響はいろいろな場面に必ずあらわれてくる。

 人のために自分を犠牲にする倫理観では、長く続く困難に立ち向かうことは出来ないだろう。人は自分の欲望に忠実であるべきだ。誰でも自分の信じる美意識と言うものがあり、ものごとの優先順位を決める権利は個人にある。
 今、アトリエでつかっている時計は、「Braunの ウォールクロック」。今から20年以上前にシンプルなデザインに惹かれて買った。リンクしてある時計は、その時計の復刻版でアトリエにあるのは、これのブラックバージョンだ。
 ずっと故障もなく動いていたのだが、最近、気がつくと静かに止まっていたりすることがある。壊れたのかと電池の接触など動かすとまた、思い立ったように動き出すので、そのまま使っていた。

 昨夜も、この時計、見るたびに確実に時間は経過し、時計の針は動いていた。

 気がついて時計を見ると1時前、だった。仕事を片付けて車に乗った。車のエンジンをかけると車の時計は2時を軽く回っていた。 ブラウンの時計が、今日は時間など気にするなと笑っているような気がした。

 写真は、本日の収穫。ナスはゆっくりと実を付ける。トマトは色づく速度を速めた。キュウリは、きまぐれに豊作の日もあれば途切れたりもする。レタスには、塔がたち始めたが、まだまだ、収穫できる。野菜もそれぞれの速度で時を刻んでいる。

アトリエの時計_c0184349_1661460.jpg

# by yamabeyasushi | 2011-07-27 16:09 | 日記